可動域

屈曲

伸展

120°

可能な限り0°

大腿骨
​脛骨
​膝蓋骨
​軟骨
半月板
 

1.膝の病気について

①膝関節のしくみ

 膝は大腿骨と脛骨、さらに膝蓋骨で構成されており、これらの骨が靭帯や筋肉、さらに関節の袋などの組織で覆われて、関節として働いています。

 大腿骨と脛骨の接触部分は軟骨で覆われ、その隙間には半月板があり、膝への負担を減らす役割をしています。

②変形性膝関節症

 変形性膝関節症は加齢変化の一種で、男性よりも閉経後の女性に多く見られます。膝の内側の軟骨が変性、摩耗することが多く、徐々にO脚(内反変形)となり膝関節 の内側に痛みを訴える疾患です。

   主な症状は座っている姿勢から立つ時や歩行時、階段昇降時の痛みに加え、関節に水が溜まります。

③大腿骨骨壊死

 大腿骨の先端(大腿骨顆部)の組織が壊死する病気です。壊死した組織がつぶれてしまうと骨の一部が陥没し、更に痛みが増します。大腿骨骨壊死の原因はいまだ不明ですが、中高年以降の女性に多く見られ、夜間や安静時に強い痛みを感じることがしばしばです。

診断について

問診、視診に加え、X線撮影、MRI撮影によって診断を行います。撮影した画像を用いて術前、術後の関節軟骨や半月板など周辺組織のチェックを行っています。

 

2.高位脛骨骨切り術について

①高位脛骨骨切り術(High tibial osteotomy;HTO)

 変形性膝関節症に対する外科的治療の一つであり、運動療法を含む保存的治療を用いても痛みの軽減を認めず、日常生活の制限が進行した場合に選択される。

 脛骨の内側から外に向かって骨を切り、内側を開いて矯正する方法です。体に及ぼす影響(侵襲)や合併症が少なく、痛みが軽減されます。

1)疼痛軽減

 痛みの軽減には個人差があり、手術後も痛みが継続する方もおられます。多くの場合,日常生活での痛みは改善し,活動レベルが手術前より向上しています.

2)正座の可否

 手術前後での関節可動域の変化が少ないため、極端に膝を曲げる角度が良くなることはありません。手術前に正座が可能であった方に関しては、手術後のリハビリテーション次第で再び正座が可能となることが多いです。

3)脚の筋力

 膝の曲げ伸ばし同様に筋力の変化が少ないです.以前からの筋力低下,筋萎縮(筋肉が細ること)を生じているため,筋力トレーニングが重要になります.

②高位脛骨骨切り術の流れ 

実際の手術手順

関節鏡にて軟骨の状態を確認します.

​必要に応じて半月板や軟骨修復の処置を行います.

1.

脛骨内側の皮膚を切開し,靭帯や軟部組織を剥離します.

2.

脛骨内側の骨切りを行い,理想の角度に開きます.

3.

術中にレントゲンにて角度を確認し,開いた箇所に人工骨を挿入し,プレートとスクリューで固定します.

4.

洗浄後,切開部分を縫合し,ドレーンを留置します.

5

手順3:骨切りした状態
手順4:人工骨を入れて
    プレートで固定

詳しい術式をご覧になりたい方はこちらをご参照ください.

 

3.入院について

①入院期間

 手術後の回復状態にもよりますが、5~6週間を目安にしています。退院時に必要な膝機能として、下記のような目標値を挙げています。

②膝機能の目標値

③再鏡視および抜釘

 術後12ヶ月以降、当院にて再鏡視および抜釘術を行います。再建靭帯、半月板、軟骨の状態を鏡視下にて確認し、必要であれば処置を行います。

 

4.リハビリテーションについて

①術前リハビリテーションについて

1)手術までに必要な膝機能

 具体的な目標値は設けていません。手術前後での関節可動域や筋力の変化は少ないため、手術までに出来る限り可動域と筋力を向上させる必要があります。

②術後リハビリテーションについて

 当院では入院リハビリテーション、外来リハビリテーションの2つがあり、退院後も一貫した治療を受けていただくことが可能です。リハビリテーションプログラムについては下記をご参照ください。

1)入院中の経過とリハビリテーション内容

【術後翌日】

・つま先をつける程度の荷重量で松葉杖歩行を行い、回復室から自室まで戻ります。

・術後の腫れ防止のため下肢架台に足を乗せた状態で過ごしていただきます。

・午後より身体の状態や、手術創部の痛みに応じて病室にてリハビリテーションを行います。

・ベッドで行える運動やアイシング(患部を冷やすこと)の指導などを行います。

【2日目~】

・リハビリテーション室での訓練が始まります。

・主に可動域訓練、筋力増強訓練、歩行訓練、物理療法を中心に行っていきます。

術後2週目より片松葉杖歩行

【2週目~】

・片松葉杖にて体重の2/3荷重歩行を開始します。

【1週目~】

・両松葉杖で体重の1/3荷重歩行を開始します。

術後3週目より階段の練習

【3週目~】

・杖を使わず、全荷重歩行を開始します。

・痛みなどがある場合は、T字杖を使用することもあります。

【5~6週目】

・入院リハビリテーションが終了し、退院となります。

・自宅で行えるホームエクササイズを指導します。

2)外来リハビリテーションの頻度

 目安として2~3ヶ月までは週2回、3ヶ月以降状態が安定していれば週1回としています。機能回復の程度やゴール設定には個人差があるため、各患者さんに合わせたリハビリテーションを進めていきます。

 通院期間は、再鏡視および抜釘(手術後12ヶ月前後)までを1つの目安としていす。再鏡視および抜釘後も最大12ヶ月まで治療を継続することが可能です。

【当院への通院が難しい場合】

遠方の方や仕事の都合などで当院への通院が難しい方は、医師より自宅近隣の病院、クリニックを紹介してもらうことも可能です。

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