屈曲  120°

ジョギング  

3ヵ月

ランニング  

4ヵ月

ダッシュ・ステップ 

ジャンプ

部分参加

6ヵ月

7ヵ月

8ヵ月

全参加

競技復帰  

9ヵ月

10ヵ月

④再鏡視および抜釘

 

1.PCL(後十字靭帯)について

①PCLの役割

 後十字靭帯(Posterior Cruciate Ligament;PCL)は、大腿骨と脛骨をつないでいる関節内靭帯です。膝関節においては非常に強固な靭帯であり、機能解剖学的には”膝の軸”ともいえます。主な役割は、大腿骨に対して脛骨が後ろに飛び出さないように制御することです。

PCL

②受傷機転

 脛骨前面を打撲することによって受傷します。スポーツ外傷としては、アメリカンフットボールやラグビー、柔道などの接触競技や格闘技で発生率が高くなります。スポーツ以外では、交通事故や転倒でも多く発生します

PCL損傷

  後十字靱帯損傷は、膝の前面に大きな力が加わることにより発生します。スポーツによる膝関節の怪我に占める割合は1%程度で、頻度はあまり高くありません。

 損傷時には関節内に出血が起こり、膝が腫れてくるため、緊急時の治療としては安静+アイシングが基本となります。しかし、損傷後の不安定感が比較的少ないことも多いため、受傷している事に気がつかない場合もあります。

④診断について

 問診、視診、触診(後方引き出しテスト)に加え、X線撮影、MRI撮影によって診断を行います。撮影した画像を用いて、靱帯損傷診断補助ならびに術前、術後の靭帯評価や関節軟骨、半月板など周辺組織のチェックを行なっています。

 

2.関節鏡視下靭帯再建(bi-socket法)ついて

①手術術式の実際

1)ハムストリング腱の採取

 太ももの内側から遊離半腱様筋腱、半腱様筋腱を採取します。採取した遊離半腱様筋腱、半腱様筋腱を横切し、それぞれ2本の二重折移植材料とします。

2)PCL の郭清と半月板・軟骨の処置

 関節内を鏡視し半月板、軟骨の合併損傷がないかを確認し、半月板縫合などの処置を行ます。PCL遺残組織は電動シェーバーや Vulcan RF デバイスを用いて切除し、大腿骨、脛骨のPCL付着部を確認します。

【移植腱固定】

3)骨孔作成、移植腱挿入

 大腿骨側に二箇所、脛骨側に一箇所骨孔を作成し、移植腱を挿入します。

 移植腱は二つ折で2本作製し、折り返し側にEndoButton CLを設置します。骨孔に移植腱を挿入し、大腿骨側および脛骨側のEndoButtonを回転させ骨外に
固定します。

 

3.入院期間と目標について

①入院期間

手術後の回復状態にもよりますが、5~6週間を目安にしています。

退院時に必要な膝機能として、下記のような目標値を挙げています。

​退院目標120°

②膝機能の目標値

可動域  

伸展   

③スポーツ復帰する場合

目安として下記のような時期設定をしていますが、各運動を開始するためには医師の許可が必要となります。競技種目によっては復帰時期が異なる場合もあるため、医師と相談した上で復帰時期を決定してください。

 術後12ヶ月以降、当院にて再鏡視および抜釘術を行います。再建靭帯、半月板、軟骨の状態を鏡視下にて確認し、必要であれば処置を行います。

 

4.術後リハビリテーションについて

①術前リハビリテーションについて

1)手術までに必要な膝機能

  具体的な目標値は設けていませんが、手術までに出来る限り可動域と膝伸展筋力を向上させる必要があります。特に膝伸展筋力は術後の回復に大きく影響するため、術前から積極的に治療を行っていきます。

術後リハビリテーションについて

 当院では入院リハビリテーション、外来リハビリテーションの2つがあり、退院後も一貫した治療を受けていただくことが可能です。リハビリテーションプログラムについては下記をご参照ください。

1)入院中の経過とリハビリテーション内容

【術後翌日】

・つま先をつける程度の荷重量で松葉杖歩行を行い、回復室から自室まで戻ります。

・術後より1週間は膝装具を装着し、術後の腫れ防止のため下肢架台に足を乗せた状態で過ごしていただきます。

・午後より身体の状態や、手術創部の痛みに応じて病室にてリハビリテーションを行います。

・ベッドで行える運動やアイシング(患部を冷やすこと)の指導などを行います。

【2日目~】

・リハビリテーション室での訓練が始まります。

・主に可動域訓練、筋力増強訓練、歩行訓練、物理療法を中心に行っていきます。

【1週目~】

・両松葉杖で体重の1/3荷重歩行を開始します。

【2週目~】

・片松葉杖にて体重の2/3荷重歩行を開始します。

階段昇降は3週目から

【5週目~】

・後方重心でのスクワット、段差昇降(10cm)を開始します。

【3週目~】

・杖を使わず、全荷重歩行を開始します。

・自転車エルゴメーターを開始します。

後方重心スクワットは5週から

【6週目】

・入院リハビリテーションが終了し、退院となります。

・自宅で行えるホームエクササイズを指導します。

※ 手術後の移植腱(新しい靭帯)や骨孔(新しい靭帯を通すために開けた穴)は8週~12週まではとても弱い状態となっているため、細心の注意を払いながら行います。

2)外来リハビリテーションの頻度

 目安として6ヶ月までは週1~2回、6ヶ月以降は状態に合わせて頻度を調整しています。機能回復の程度やゴール設定には個人差があるため、各患者さんに合わせたリハビリテーションを進めていきます。

 通院期間は、再鏡視および抜釘(手術後12ヶ月前後)までを1つの目安としています。再鏡視および抜釘後も最大12ヶ月まで治療を継続することが可能です。

【当院への通院が難しい場合】

 遠方の方や仕事の都合などで当院への通院が難しい方は、医師より自宅近隣の病院、クリニックを紹介してもらうことも可能です。

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